■ドイツの環境保護政策
- ドイツ循環経済・廃棄物法
(正式名称;循環経済の促進および環境適合適な廃棄物の処理の確保のための法律)
- 概要
- 1994年制定、1996年施行。ドイツ環境政策の基本法である。
- その基本概念は、廃棄物(ごみ)とは、もはや所有者が捨てたものだけをいうのではなく、全ての製品及びそれを生産するときに生じる全ての残余物を廃棄物と規定し、新しい生産者責任によって生産者はその処理に責任を持つ。
- 循環経済の原則と基本義務
廃棄物処理の優先順位は、
- 廃棄物の回避
製造業者及び販売業者は、開発の時から製品が廃棄物になった時のことを考えなければならない(製品責任)
- 廃棄物の有効利用(素材・原料リサイクル及びサーマルリサイクル)
- 廃棄物の適正処分(環境汚染の少ない方法で廃棄物を国内で処分)
- 特徴−製造物責任−
- 循環経済法の特徴は「製造物責任」を規定した点にある。
- 製品を製造、加工・処理、販売する者は製造物責任を負う。
- 製造物責任を果たすための義務
製品は、その製造と使用の際には廃棄物の発生をできるだけ回避するよう、またその使用の後では、環境に調和した公害を出さない活用(使用や再生)と処理が保証されるよう設計・製造・販売しなければならない。
- 包装廃棄物規制令
- 概要
- 1990年6月制定。日本の「容器包装リサイクル法」制定の際に参考とされた政令である。
- 全てのメーカーに、使用済み包装廃棄物の回収、再利用を義務付けたもの。
- 3段階に分けて規制が実施されてきた。
- 1991年 輸送用包装材(コンテナ、パレットなど)の規制の実施
- 1992年 二次包装材(段ボール、サランラップなど)の規制の実施
- 1993年 販売用包装材(紙袋、びん、缶、手さげ袋、紙箱など)の実施
- 実施体制−デュアル・システム−
- 本政令発効以降、販売包装廃棄物の回収・リサイクルシステムとして「デュアル・システム」はドイツ全土に定着。デュアルシステム(二元体制)とは、
- 包装廃棄物の発生は最充填の要件がないかぎり、包装材を素材的に再生利用(リサイクル)する方法で回避しなければならず、
- 企業は、そのために独自にごみを回収するか、または、公的認可を受けた専門業者に、回収の義務を委託せねばならない(デュアルシステムの許可)
- 「DSD」(デュアル・システム・ドイッチェランド)社
・企業が個別に回収を行うには多額の費用を要する等問題が生じるため、企業が出資して代行機関「DSD」を設立し、回収を委託。包装材製造者、利用者、販売業者が支払う「緑のマーク(グリューネ・プンクト)の登録料により資金が賄われている。
- 廃車に関する政令
- 1991年政令策定。1998年4月発効。
- 規制の内容は、メーカーあるいは販売業者は少なくとも販売網と同じ密度で中古自動車や廃車の回収施設を設置し、最終ユーザーから無料で廃車を引き取り技術的に可能なかぎり再利用すること。
- 政令策定後、連邦政府と自動車工業会との間で協議を重ね、自動車工業会の自主規制策として、メーカーと輸入業者が登録後12年未満までの車を無料回収しリサイクルすることを決定。連邦政府と合意に達した。その他、シュレッダーダストを2002年までにメーカーあたり15%に、2015年までに5%までに削減することも決めた。
- 自動車工業会が廃車回収で前向きな自主対応策を提案したことから、連邦政府は廃車リサイクル業者の施策、認定規則を政令に盛り込み1998年4月から発効。
- 使用済み電気・電子機器廃棄物と情報処理技術機器に関する政令
- 1991年政令案提出。規制対象は、電気・電子部品を内蔵するあらゆる製品であり、これらの電気・電子機器は、全てメーカーや販売店が中古機器を無料で引き取り、回収・再利用する義務を負うという厳しい内容である。
- その後、連邦政府が業界の自主対応策の提出を求め、1995年新たな政令案を提出。
- その内容は、
- 電気・電子機器のメーカー及び販売者は、中古機器を無料で引き取り、回収・再利用する義務を負う。但し、本義務の履行を第3者に委託することができる。
- 基本的には電気・電子部品を内蔵するあらゆる製品であるが、今回の政令では次の製品に絞りこむ。
- 情報技術・事務・通信技術及び印刷・製版技術の機器
- 冷蔵庫、エアコン、レンジ、洗濯機などの白物家電
- テレビ、ステレオ等茶色物家電
- 産業界・リサイクル業界の動向を踏まえる。
- エコラベル制度(ブルーエンジェル)
- ドイツのエコラベル制度は環境にやさしい商品として一定基準を満たす商品につける任意のラベル制度。ラベルに国連環境計画(UNEP)のシンボルマークであるブルーエンジェルを使用していることから「ブルーエンジェル制度」と呼ばれている。
- そもそも環境にやさしい消費生活を営もうとする消費者の自発性に立脚する任意の制度で消費者に環境によい商品に関する情報を提供し、その意識を高めるとともに、環境負荷の少ない製品・技術の開発に対する企業インセンティブを高めることをねらいとしている。
- ラベルの認定を受けるには「同一の使用目的に資する商品に比べ、特に環境にやさしい」ことが条件で、審査にあたっては多くの条件が詳しく規定されている。
■世界の環境法規制
次のようなサイトで世界主要国の環境法規制情報について知ることができます。
→環境goo「世界の法規制」 http://eco.goo.ne.jp/world_ekokisei/index.html
→世界主要国の環境規制情報 http://www.envix.co.jp/ (環境・エネルギーコンサルティング会社EnviXのホームページ・隔月刊で発行している世界主要国の環境規制情報の内容について紹介されています)
|